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2点目は、ものづくり技能の担い手である人材について。人材の育成は、採用から始まり、定着対策、OJTやOff&#8213;JTなどの訓練体制の中で図られていきます。また、技能継承をどう図っていくかという課題もあります。これらの点についても、それぞれの会社からみてどのような状況であるのか、どういう課題があるのか、コメントをお願いします。 3点目は、以上の2つの論点を踏まえて、報告でも産官学連携が重要であるという話がありましたが、地域ネットワークの意義と課題について、触れていただきたいと思います。 それでは、勝山さんからお願いいたします。 論点1:グローバル化のなかでの中小企業の競争力基盤 ものづくりの前に人づくりを 勝山 世の中はこぞってグローバル化に進んでいますが、Q(品質)、C(コスト)、D(納期)という部分があり、問題はこれらをどう捉えていくかだと思います。私ども中小企業としてみれば、なかなか海外に打って出ることはできません。国内で生き残りをかける。そのためにはどうするかですが、いまや海外企業もQとDは当たり前になりました。したがって、安さの競争になってくるとわれわれには難しい局面になります。 自動車の部品は2万点以上の部品で成り立っていますから、生き残りをかけていくということでは、ものづくりの前に人づくりという問題があると思います。私どもの会社は、苦しみも楽しみも喜びもみんな一緒だと、リーマン・ショックから今回の震災まで全部乗り切ってきました。難しい局面でも、スピードをかけて取り組めるか、この辺りが課題だと思います。 コスト競争は発展途上国に 佐藤 続きまして、浜野さん、いかがですか。 浜野 浜野慶一氏 最近、町工場を取り巻く環境が、短いスパンでごろごろ大きく変わってきていることを本当に実感します。「今まであんたのところで100円でつくってもらっていたものだけど、これ、来月から50円にしてくれないか」というような話は、『下町ロケット』だけの話ではありません。 ですが、これは仕方のないことだと思います。海外の部品加工メーカーも実力はどんどん上がってきています。特に金型の分野では、工作機械が非常に発達して、ある程度のところまでは機械で職人の技ができてしまう。 これまで、日本のものづくり中小企業のほとんどは、加工技術で生き残ってきたと思います。しかし、ものづくりには、デザイン、設計、開発、素材などが加工の前段にあり、これらすべて含めてものづくりと言えます。これまでは、加工のステージだけで物事を考えてきましたが、コスト競争ではもう発展途上国に譲ってもいいんじゃないかと思っています。 加工の前と後の部分で、今まで持っている技術を使って、新しいものづくりにチャレンジしていく時代になっているのではないかと感じています。 佐藤 お2人の話は大変リアルで、貴重でした。勝山さんのお話では、グローバル化で環境が厳しくなっているからこそ人づくりなんだと、やはり今日のテーマである人材育成に帰ってくるのかなとお聞きしていました。 浜野さんにお聞きしますが、組立加工では海外との競争が相当厳しさを増していますが、日本企業のサプライヤーの場合、そうでないところでの強みというのは十分発揮できるという認識でよろしいですか。 浜野 はい。 佐藤 ということは、そういう部分をしっかり支える人材が重要になってくるという理解になってくると思います。横山さんいかがですか。 カギ握る国内企業との連携 横山 去年と今年含めて中国などに進出している企業を見てきましたが、成功している、あるいはきちっとした品質管理ができているということになりますと、結局、国内の企業といかに連携するかが大きなキーファクターになっていると思います。現地では、現地の事情を知っている経営者をいかに企業運営の中に取り込んでいけるか、政府機関との調整役を誰がどのようにできるかが問題になってきます。 昨年から山形大学と東北大学の先生方と連携し、中国ビジネス研究会というものを立ち上げ、海外のものづくりではどういう要素技術が要るのか、どういう戦略が必要なのかについて、実際に海外に事業展開している社長さんから話を伺いながら、討論会をしています。 皆さんおっしゃるのは、海外に行きたいのではなく、マーケットがあるから行っているんだと。ただ、忘れてならないのは、国内の工場を維持する努力をしていかないと、何も残らなくなると。国内では、技術をマザー工場できっちり維持し、汎用化できる技術については海外で展開するというような戦略を描いていかないと難しいという話がありました。 融通性の強みがあだに 佐藤 藤本さん、どうですか。個別の企業や業界団体を調査されて、ご意見ありましたらお願いします。 藤本 ある中小企業に行ったときに、中国メーカーと比べたときに日本の強みって何ですかと聞いたところ、われわれは1,000種類以上の製品を、少量でつくっていて、段取りがえに日本人の勤勉さも器用さも生かすことができて、この点なら勝てるとおっしゃっていました。 藤本 真氏 ただ、それがあだになっている一面もあると思っています。アンケート調査の結果でも、「御社の競争優位は何ですか」との問いに、「融通がきくこと」という回答が多い。私は、日本のものづくり企業ほど、サービス業的な思考を持っているところはないと思っていますが、融通がきくことによって長期的に見て、自分たちの首が締まるサービス化をやっていないかという懸念を持っています。それを脱するにはどうすればいいのかということが、人材の点も含めて今後の課題になってくると感じています。 働く人の能力向上を 佐藤 政策的にいかがでしょうか。志村さんから何かありましたら。 志村 皆様のお話を聞いていて、行政としてもアンテナを高くして、しっかり臨んでいかなければならないと思いました。 職業訓練という面からみると、やはり日本の労働者の能力向上を図っていかなければならない。先ほどは環境エネルギー分野の訓練に触れましたが、既存の訓練科目にもいろいろあり、その中をある程度分解してみて、就職につながる要素が何なのかをみていかなければならない。 訓練が企業のニーズに合っているかどうかという問題については、職業訓練校に赴いた際にも話しているのですが、速度(スピード)が重要だと考えています。 佐藤 小さな会社の場合、自前で育成をすべてやっていくのはなかなか難しい面がありますから、特に公共職業訓練の支援や、それとの連携が課題になってくるかと思います。 論点2:人材の採用・定着・育成・技能継承 前段に事業継承の問題が それでは、二番目の論点に移りたいと思います。同じ順序でコメントをお願いします。 勝山 私どもの会社は、今が二代目の社長ですが、同族系会社というのは代が進むにしたがって衰える場合がある。そのために、研修というんでしょうか、次の代への事業承継が必要で、事業承継があって初めて技能承継もなるんだと思っています。 技能承継のあり方については、当社は定年制は撤廃されていますが、60歳を過ぎてどう生きていくか、人づくりの問題をどうしていくか、若い人とも一緒になって考えていかなければならないと思います。 忘れないものづくりの楽しさ 浜野 まず採用についてですが、家族でやってヒーヒー言っているような中小零細企業はなかなかお金がない。採用担当者なんていないですし。採用する側と雇われた側のミスマッチが往々にして起こる。 今、私どもの場合は、インターンシップを経験したメンバーの採用が主です。ミスマッチが少なくなるだけでなく、技術的なことのほか、本人の人柄や物の考え方を互いに理解できる。ミスマッチがここのところ随分少なくなってきていると感じています。 定着については、定着の圧倒的な理由はものづくりに対する楽しさだと思います。「ものづくりってすごく誇らしい仕事なんだよ」ということをその会社で感じることができれば、その喜びとか楽しさって職人は絶対に忘れない。 さきほど、産学連携を始めた理由は、会社の文化、風土を変えたいと思って始めたと言いました。実を言うと、われわれの会社でつくっているものは部品加工なので、自分たちがつくったものがどこにどういうふうに使われているのかよくわからない。ですから、どう評価をされているのかもわからない。 例えば、産学連携プロジェクトで、電気自動車をつくりました。シャーシを溶接していたメンバーなんか、自分たちでつくった車に乗ってもらって「すごく乗り心地がいいね」とか言ってもらうと、にこにこしている。あるやつは、柱の影に隠れてガッツポーズまでしているんですよ。このガッツポーズの思いは、絶対に次につながるものがあると思うんですね。 育成とか技能伝承については、われわれみたいな一企業ではやり切れないところもある。でき上がったこういうセミナーがあります、こういう訓練があります、来てくださいというのではなく、各会社に合わせたオーダーメイド研修があったり、同業他社と一緒のセミナー研修などがあれば、うまく回ってくるのではないでしょうか。 佐藤 今の話を伺いまして、特にものづくりというのは、単にスキルや技術、技能的なものだけではなく、そういうものを支えるものづくりの本来的な楽しさとか喜び、感動とか、そういうものがあって初めて固有の技能とか高度な技能が乗っかってくるのかなと改めて認識しました。 企業を知ることで地元への就職を 業界団体、産官連携の中でその点いかがでしょうか。横山さん。 横山 横山繁美氏 それでは、2つ紹介したいと思います。今、工業高校の専攻科でもインターンシップをやっています。カリキュラムの中に、2年生のときに2週間、3年生のときに1カ月入れ、企業とのミスマッチがないような状況をつくっています。 大学については、山形大学の工学部で卒業生が毎年1,000人ほど出るのですが、地元関連に残るのは1割もいない。 そこで、地元で働いてもらうためには、まず企業を知ってもらおうと、バスツアーを企画し、企業の社長さんから、採用者への人材育成や企業内でのスキル訓練をどう実施しているかを発表してもらいました。夜の部は、学生の質問事項を社長さんから一問一答で引き出す訓練を10日がかりでやる。そうすると、「社長はああいうふうに従業員の気持ちをわかってくれるのか」、「従業員を育ててくれる社長さんだったら、受験してみよう」となってくる。 定年技術者の育成も もう1つは、最近思っているのは、ものづくり企業ほど定年制がしっかりあり過ぎます。技術を持っている人でも、定年制の中で、地場で活用される場が出てこないのです。そこで、ものづくりリテラシーも含めて教育し、企業の課題解決に乗り出していける人材を育成しようと、シニアインストラクターという制度を米沢でつくりました。山形大学と東京大学の藤本先生がやっているMMRC(ものづくり経営研究センター)と一緒に、課題解決できる定年退職者の技術者の育成を始めています。 佐藤 せっかく優秀な潜在力のある学生でも、地元に定着をせずに他県に流れていく。これらに対する取り組みは個別企業ではなかなか難しいですね。特に印象的だったのは、来てくれる学生を採るんだというのではなく、むしろ社長さんがものづくりの楽しさなどをアピールして、攻めていくという取り組みでした。では、藤本さん、いかがですか。 研修や教育訓練のあり方も 藤本 私は、中小企業のものづくりの現場で必要なのは、単純に技術とか技能だけではないと考えています。限られた時間で、要求されている高度なサービスや納期を実現しようと思ったら、各自がお互いコミュニケーション能力を持ち、何が今、仕事の場で動いているのかという文脈を理解する力みたいなものが必要になる。 中途で即戦力が欲しいといいながら、人材を育成しようという企業が4割ぐらいあるという調査結果は、今の技能検定や技術にかかわる資格が、技能的、技術的なところしか見ていなくて、中小のものづくり現場の求めている人材とマッチングしていないことを表している可能性もある。 中小のものづくり企業を調査していて、「もし国が、OJTをやりながら、自分の企業で抱えている課題を解決できるような教育訓練をしてくれたら、中小企業ももっと使うでしょう」という話を何度も聞きました。中小のものづくりの能力開発や人材育成は、課題の解決と結びつかないと何の意味もないと思いますので、研修や教育訓練のあり方の体制を今後どう変えていくかが課題ではないかと思います。 佐藤 これから政策の観点からのご意見を伺いますが、オーダーメイド型研修や、自社で求められている人材要件にあった研修・訓練など、政策あるいは公共訓練の観点からみていかがごらんになりますか。 志村 国の独法の機構では、オーダーメイド型の訓練をいろいろ実施しています。 訓練科は、20人とか30人という単位で形成されていますが、チームの親交を深めるような工夫をして、訓練体をつくっていかないと最終的な成果もなかなか上がらないという話を指導員さんから聞いたことがあります。 論点3:地域ネットワークの意義と課題 専門機関に相談して問題解決を 佐藤 それでは3点目の論点に移ります。先ほどはまさに、米沢についてこのテーマでのお話があったわけですが、勝山さん、いかがでしょうか。 勝山 勝山 勲氏 専門的な知識がなくても何とかしなければならない状況では、地域の専門的な人に相談することがよいと思っています。茨城県でいうと、テクノセンターや職業能力開発協会、振興公社など、いろいろな機関で専門家派遣のサービスがあります。 技術面で言うと、例えばアルミの世界では、鋳巣や湯流れなどの問題があり、社内だけでは解決できないときに、そういった機関に相談して解決の糸口を見つけていくこともあります。 町工場が情報発信を 浜野 私の父親は福井県の出身ですが、福井県から出てきて東京の大田区で金型の修業をしていました。なかなか技術もついてきた、手に職もついてきたからと独立した。このように会社を創業した人が墨田区なんかは非常に多い。 しかし、2軒、3軒離れた同業他社は、ライバル企業だったりする。こうした中で、地域の中で同業の会社で何か手を組んでやりましょうといっても、実際無理なんですね。銀行の会や協力会なんかに行けば顔を合わせますが、実際はライバルなんです。 けれども、創業者から二代目にかわってきて、競争相手は3軒先の同業他社ではないということは、われわれの世代はよくわかっています。地域のみんなと協力して何かやっていかなければならないなという、意識の部分で共有できているところはあります。父親の世代だと、そんなことを言うものなら、「おまえ、そんなことを言っていると、あいつのところに仕事をとられちゃう」と言われたでしょう。 中小零細企業だと、自分のところで完結できる仕事はあまりないんですね。例えば金属加工をしているといいながら、その後にメッキをつけなきゃいけないとか、ねじどめしなきゃいけないと思ったら、地域の会社と連携して何かやらなければいけない。特にメッキなんていうと、地域にそういう会社がなくなってしまうと、自分たちの会社の実務にも影響が出てくる。 大切なことは、今まで下請仕事をしていたわれわれのような中小零細の町工場が、どうやって情報発信していくかだと思います。個々に見ると、いい技術をみんな持っているし、いいものをつくっている。今までは、取引先の会社に何とか取り繕って、そこから仕事をもらっていれば、20年、30年飯が食えた時代でした。しかし、今、それがなくなってきているなか、せっかくのいい技術が自分のお客さん以外には理解されていない。 そこで、新たな地元地域のネットワークを組んだり、また、他地域との連携も図っていけば、仕事の面だけではなく、人材教育などでもお互いに情報共有できる。こういうことで日本のものづくりを支えていく必要があるのではないかと私は思います。 官学を巻き込んだ連携を 佐藤 聞けば聞くほど、個別企業が単独で生き残って地域が滅びるのではなく、まさに地域の繁栄があって、個別企業がその上に生き残れるのだという思いをますます強くしました。競争からコラボレーションの重要性が出たところですが、横山さん、藤本さん、志村さん、簡潔にコメントしていただければと思います。 横山 企業同士でのネットワークを考えるのはなかなか難しいですから、そこは大学、行政といったものを巻き込みながら実施していくことだと思います。産産連携では、利害関係が絡んだり、お互いの競争心がありますから。逆に言うと、そういう連携組織を活用できるような資金を提供してくれる官を入れることなどがポイントになると思います。 藤本 業務の課題を解決するような訓練では、私も地域がベースにあるともっとやりやすいだろうと思います。地域には結構豊富に訓練施設などの資源はあると思うのですが、省庁の壁などもあり、十分に活用できていない現状もあるかと思います。それを打ち破るためにも、地域での産学官の取り組み、横山さんが報告された米沢のような取り組みの必要性が高まるのではないでしょうか。 志村 志村幸久氏 北海道庁に出向していたことがあります。道庁本体の予算というのはあまりないのですが、北海道には経済産業局もあるし、北海道開発局もある。政策資源をうまくつなげるような努力をやっていくべきではないかと考えたことがあります。私自身もこれから国の政策を展開していくときに、他省庁との連携なども積極的に心がけていきたいと思います。 やはり人づくりが不可欠 佐藤 最後にパネリストからのクロージングコメントをお願いし、最後に私のほうから総括したいと思います。 勝山 企業には3つの責任があります。1つは、社会的責任、もう1つは経済的責任、3つ目が製品の製造・販売に関する責任で、これらには全部、人が携わっています。このうち、どれを欠いても企業は存続できません。人づくりというものは、社員に対する経済的責任も、社会的責任も負っていますし、ものづくり企業なら製品製造販売に関する責任も負うことになる。ということであれば、人づくりが原点であると認識しています。 浜野 従業員にとって、会社の姿勢や方向が見えるところと、方針も評価制度もないようなところのどちらで働くのがいいかと考えたら、100人中100人とも前者を選ぶと思います。とまった歯車を回す導入時期が一番難しいのですが、ある程度、歯車が動いてくれば、特別に社長が何かいろいろしなくても、自然と会社は回ってくる。ただ、定期的な見直しや評価制度はきちっとやらないと、だんだんずれてきてしまうところがありますので、そこは心がけています。 今日、勉強させていただいたことを実践しながら、日本のものづくりを末端ではありますが支えていきたいと思っています。 横山 これから生き残れるかという視点からすると、環境、エネルギーなど次の時代の産業はどんどん変わっていきますから、それを支えていくのが地域だとすると、その人材をきちっとだれが育てるんだということが重要になってくる。各地域で産業の戦略をしっかりと参画をして立てながら、その中で人材育成に取り組むということが不可欠だと思っています。 ベクトルを合わせた取り組みを 藤本 日本はいろんな意味で停滞していますが、ものづくりの世界では、蓄積もあるし、課題もある程度わかっているし、有形無形の資源もある。国際社会で存在感を発揮できる余地はまだあると思っています。ただ、企業や地域、行政などの取り組みのベクトルが合っていない。人材育成も含めて、ベクトルを合わせて有効な取り組みをすべき時期に来ていると思います。 志村 モデル事業や個別の訓練校での訓練などをする際に、地域レベルでニーズに根ざした訓練をちゃんとやれるよう、予算要求だけでなく、実行の面でも都道府県とも連携してやっていかなければならない、そんな思いを新たに強くしました。 厳しい状況でこそ人材が大事 佐藤 佐藤 厚氏 最後に、私のほうから印象に残ったことだけ2点申し上げたいと思います。1つは、論点の1番目で、グローバル化、円高が進むなか、日本のサプライヤーが今後どうなるのかという懸念を正直持っていたところですが、厳しい状況になればなるほど、人材、人づくりが大事なんだということが強く印象に残りました。しかし、実はなかなか難しい問題なんだということも改めて痛感した次第です。難しさに関して、藤本さんが能力要件の明確化や見える化を紹介しましたが、人材育成、能力開発をしていく上での重要なキーコンセプトになってくるのではないかという思いを強めたところです。 勝山さんからは、能力評価のシートがスライドで示されていましたが、能力を開発したり、訓練するときには、どんな能力・技能を開発する必要があるのかをはっきりさせることがまず出発点だと思います。それがあって、どう伸ばしていくのか、どのような方法でどう伸ばしておくのか、効果はどうだったかなど、PDCAのプラン・ドゥー・チェック・アクションが回っていくわけです。 これは外部の訓練プロバイダーを活用する場合でも有効です。私も藤本さんと一緒に調査研究プロジェクトをやってきまして、この分析の中でそれが明らかになってきたところであり、今日の事例を伺ってその思いをさらに強くしました。 技能要件の共有化も ベテランの職人さんは、背中を見ろとか、技能は盗めとか言って、暗黙知と呼ばれる、必ずしも明確になっていないものを何となく体得してくる中で、高度な技能を蓄えてきたんだと思います。今でも重要かと思いますが、しかし、若い世代がどんどん入ってくる中で、それはどうも通用しない。むしろどんな技能要件が必要なのかを明らかにし、日報とかブログの中で共有していったほうが、実は大きな効率、生産性を生むのではないか、技能獲得を促すんじゃないかと思いました。 米沢の取り組みでは、フリーはんだ付け技能認証が強く印象に残りました。これは大変なことで、決して当たり前なことではないと思います。求められている能力要件なり人材要件なりを明確化して、公共訓練なり外部のプロバイダーなりの活用につなげていくという中で、公共職業訓練政策との連携もますます深まっていくのかなと感じました。大きなテーマのわりにはささいな総括で申しわけございませんが、一番印象に残ったことを申し上げました。今日は最後までご参加いただき、ありがとうございました。 <プロフィール> ※掲載順 志村幸久(しむら・ゆきひさ) 厚生労働省職業能力開発局能力開発課長 1990年労働省入省。厚生労働大臣官房人事課人事企画官、職業安定局建設・港湾対策室長、厚生労働大臣秘書官、厚生労働大臣官房地方課紛争処理業務室長等を経て、2011年7月から現職。 藤本真(ふじもと・まこと) JILPT副主任研究員 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程を経て、2004年より労働政策研究・研修機構に勤務。専門は産業社会学、人的資源管理論。近年の主な調査研究成果には、『ものづくり産業における技能者の育成・能力開発と処遇&#8213;機械・金属関連産業の現状&#8213;』(労働政策研究報告書No.112、2009年)、『中小製造業(機械・金属関連産業)における人材育成・能力開発』(労働政策研究報告書No.131、2011年)、『ものづくり現場における技能者育成方法の変化』(PDF:381KB)(共著、『日本労働研究雑誌』595号所収)などがある。 勝山勲(かつやま・いさお) 栗田アルミ工業株式会社社長付・人財育成チーフマネージャー 東京浅草出身。1963年常陽銀行東京支店入社。福島・仙台・大阪・本店営業部などを経て1997年湯本支店長。1999年2月栗田アルミ工業株式会社へ出向。同年12月常陽銀行退職、取締役総務部長に就任し、財務・人事・教育を担当。2009年12月取締役退任、2010年1月より現職。 浜野慶一(はまの・けいいち) 株式会社浜野製作所代表取締役 1962年東京都墨田区生まれ。1984年東海大学政治経済学部経営学科卒業。同年東京都板橋区の精密板金加工メーカーに就職。1993年創業者浜野嘉彦氏の死去に伴い、(株)浜野製作所代表取締役に就任し、現在に至る。墨田区の「フロンティア墨田塾」で塾頭を務める一橋大学商学部(現明星大学)の関満博教授の協力を得て、産学官連携センターを設置。産学官交流の一翼を担っている。社外では、経済産業省・文部科学省の産学人材育成パートナーシップ経営管理人材分科会委員、東京商工会議所墨田支部工業分科会会長、墨田区産業振興会議委員、東京都立橘高校教育審議委員、全国中小製造業ネットワーク「Monozukulink.net」役員等を務めている。2011年8月東日本大震災からの復興・復旧に尽力したとして経済産業大臣表彰を受賞。「朝日新聞デジタル」にて仕事のビタミンというコーナーのコラムを連載中。 横山繁美(よこやま・しげみ) 米沢ビジネスネットワークオフィス地域情報プロデューサー 1975年3月日本大学農獣医学部卒業。同年4月株式会社荘内銀行入行。1983年4月仙台支店融資得意先担当調査役。1989年2月米沢中央支店開設(開設準備委員)。1991年3月桜田支店開設(開設準備副委員長)。1994年10月あかねケ丘支店長。1998年3月お客様サービス室室長。1999年10月米沢支店支店長。2001年11月米沢BNO設立に伴い地域情報プロデューサーに着任。現在、「米沢産業育成事業運営委員会」事務局長、「とうほく組込み産業クラスタ」事務局長、「東北IM連携協議会」監事(IM=インキュベーション・マネージャー)を務める。地域活動として、山形県立米沢工業高等学校で「教育研究開発校運営指導委員会」委員、米沢市立第二中学校で「起業化育成事業」講師を務めている。 ◆コーディネーター 佐藤厚(さとう・あつし) 法政大学キャリアデザイン学部教授 1990年法政大学大学院社会科学研究科博士課程修了。博士(社会学)。日本労働研究機構(現、労働政策研究・研修機構)、同志社大学大学院総合政策科学研究科教授を経て、2008年より現職。専門分野は産業社会学、人的資源管理論。主な著書(編著)に『ホワイトカラーの世界』、『仕事の社会学』、『業績管理の変容と人事管理』、『キャリア社会学序説』などがある。 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